もうすぐお盆ですね。お墓参りはもちろんのこと、実家や親族のお宅にある仏壇でも、お線香をあげる機会が増える時期です。
ところが、これが頭を悩ませる原因になることもしばしば。何しろ、宗派やその家の風習によって作法が違うのです!
私も父方の祖父宅の仏壇では線香を立てていたのに、母方は折って寝かせていたので混乱したことがあります。
そんなお線香のマナー。
自分の実家なら簡単に済ませることができても、親族や婚家となれば失礼のないようにしたいもの。
そこで、お盆が来る前にお線香のマナーをマスターすべく、お線香のあげ方や本数、さらにはお線香の意味まで徹底的に解説します!
お盆にお線香をあげるときのマナーは?
まずは仏壇にお線香をあげるときの作法からお話しします。
- 数珠を持つ場合は左手に
- 仏壇の前に正座して一礼
- ろうそくに火がついていなかったらつける
- 線香を右手に持ち、ろうそくから火を移す
- 線香に火が残ったら、逆の手であおいで消す
- 線香を供える
- 合掌
- 一礼して下がる
以上が仏壇にお線香をあげる際の、基本的な流れです。
線香の火を口で吹き消してはいけないということは知っている方が多いと思いますが、これは仏教では「口は悪行を積みやすい不浄なもの」とされているためです。
左手であおいで消すか、右手で線香を持ったまま真下にスッと下げて消すようにしましょう。
お盆であげる線香の本数とあげ方、正しいのは?
宗派によって、お線香の本数もあげ方も違います。
◆浄土真宗
1本を2つまたは3つに折り、寝かせます。折る数は線香や香炉のサイズによって変わります。
◆浄土宗、禅宗(臨済宗・曹洞宗)、日蓮宗
折らずに1本を香炉の真ん中に立てます。
◆真言宗、天台宗
折らずに3本を、自分から見て逆三角形になるように香炉に立てます。
宗派による作法の違いは上記のようになりますが、家庭によって「灰が落ちると散らかるから」という理由で二つに折るといった場合もありますので、事前に確認できそうならしておきましょう。
また、お線香をあげるときに鈴(リン)を鳴らす方もいらっしゃると思いますが、本来は鈴を鳴らすのは読経の合図とされているので、浄土宗・浄土真宗では読経しないのならば鳴らしません。ご注意ください。
それ以外の宗派では、読経しなくても「鳴らしてもよい」とされていることもありますが、こちらは宗派だけでなくお寺によっても鳴らす回数が違うことがあります。
さらに家庭によっても違うことがあるので、わからない場合は確認するか、鳴らさないでおくのもひとつのやり方ですね。
お墓参りの場合、お線香の本数は変わる?
お墓参りでのお線香の本数やあげ方も、基本的には仏壇にあげる場合と同じです。
ただしお墓参りの場合は少し違う場合もあります。
場を清める意味で束のままお線香をお供えすることもありますし、そもそも香炉の形状が横置きになっていて、寝かせることしかできない場合もあるのです。
このあたりは親族のやり方に倣うのが無難ですね。
宗派の本数であげる場合は、束で火をつけたお線香のうち宗派に合った本数を渡されるはずですので、そのチャンスを逃さず覚えておきましょう。
なお、お墓参りでお線香に火をつける際は、ろうそくからでなくても問題ありません。
ただし新聞紙などを燃やして火をつけるのは、防火の観点からあまりおすすめしません。
現代ではお線香に着火するために作られた防風ライターもありますし、柄の長いライターもありますので、安全性を考慮して選びましょう。
もちろん火を消すのに口で吹いてはいけないのは、仏壇と同じです。
手であおいで消しましょう。
お墓参りでお線香を焚くタイミングは、掃除などが終わって花やお供えを置いた後になります。
掃除→お供え→線香→合掌の順です。
お線香にはどんな意味があるの?
お線香には、清めの意味と仏様と繋がるツールという意味、さらに仏様の食事という意味があります。
現代でもリラックス効果などを得るために香を焚くことがありますが、インドでも昔から心身を清めるものとして、香を焚いていました。
また、煙を通じて仏様と繋がることができるとされています。
俗世で穢れた心身を清め、仏様と心を通わせて会話をするためにお線香を焚くのです。
さらにお線香は、仏様の食事でもあります。
仏教経典のひとつに「倶舎論(くしゃろん)」というものがありますが、そこに「死後の人間が食べるは匂いだけで、善行を行った死者は良い香りを食べる」という記述があるのです。
身を清め、ご先祖様に良い香りを食べていただきながら、心を安らかにして仏様と語り合う。
お線香にはそんな意味があるのです。
まとめ
- お線香の火は口で吹き消してはいけない
- お線香の本数やあげ方は宗派によって違う
- お墓参りの場合のお線香は、基本は同じだけど束のまま供えることもある
- お線香には「身を清める」「仏様と繋がる」「仏様の食事」という意味がある
お線香のあげ方には宗派によってそれぞれのマナーがありますが、何よりも大切なのは仏様を想う気持ちです。
お線香をあげるときには身も心も清めて、心を込めた供養をしたいですね。
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