赤ちゃん時期の発達や発育は、非常に個人差が大きいものです。
それでも、育児書や育児雑誌には「この時期にはこんなことができるようになります!」「うちの子は、もうこんなことができるようになりました!」など、平均的な赤ちゃんの発達発育が書かれ、それを見るたびに心配になったり安心したりしますよね。
言葉の発達もそうです。
のんびりな子や、おしゃべりな子など色々な子がいますが、親はいつでも他の子と比べ育児書と照らし合わせ不安に駆られるのです。
そこで今回は、悩めるあなたのために1歳での言葉の発達や、喋らない理由、喋らない歩かない1歳の子供に潜む問題と、言葉の教え方についてお話していきたいと思います。
1歳なのに喋らない不安
我が家の次男は、1歳になっても指差ししながらニコニコと「あー」「うー」などと言うだけでした。
長男が、とてもお喋りが早かったこともあり非常に心配になりました。
ですが、他の発達に問題がないことから、かかりつけの小児科医や乳幼児検診でも「まだ言葉の芽が育っていない言葉のストックが少ない」という見解でした。
1歳でそれ相応の言葉が出ていなくても「発達の個人差の範囲である」場合が多いようです。
ところで、赤ちゃんの言葉はどんな過程を経て発達していくのでしょう?
※以下、あくまでも目安ですので、ご自身の赤ちゃんと比較する必要はありませんよ。
【乳幼児の言葉の発達過程】
- 生後2か月ごろから「あー」「うー」などの舌を使わず母音だけを発生する「クーイング」が始まります。声が出ることが楽しくなってきます。
- 生後6か月ごろ「まま」「あーあー」など、同じ言葉を連続して発生する喃語を喋るようになります。また「ダダ」「パパパ」「バババ」などの「破裂音」も出てきます。この頃の言葉に意味はありません。
- 生後10か月ごろから「指差し」が始まります。これも言葉の発達に関連する大事な過程でコミュニケーションの始まりです。
- 1歳ごろは「まま」「パパ」「まんま」「ぶーぶー」など意味のある言葉を喋るようになります。
- 1歳6か月ごろになると語彙が増えてきます。言葉の芽を蓄えていく時期です。
- 2歳ごろになると二語文が喋れるようになります。「あっち・いく」などの意味のある言葉を二つつなげて意思の疎通をするようになります。
1歳なのに喋らない歩かない子に潜む問題?
1歳と言えば、歩けるよになっている子も多くいます。
中にはつかまり立ちがまだできない子もいますが、その他の発達に問題がなければ通常の発達の範囲以内だとされています。
そのことについては当サイトの以下のリンクに詳しく説明してありますので、ご一読ください。
1歳過ぎても「つかまり立ちしない子」練習法は?病気の可能性は?
上の章にも書きましたように1歳になっても喋らない子にも、同じことが言えます。
では「1歳なのに喋らないし、歩かない子」には、何らかの問題が潜んでいるということでしょうか?
【歩かない喋らないのは障害があるから?】
歩かない・喋らないは一つ一つなら些細な問題ですが、これらが合わさるとさすがに心配になりますよね。
ですが、「歩かない・喋らない」=「何か障害がある」と考えるのは早急です。
これらの問題は、赤ちゃんが歩く、喋るために必要な心身の成長が伴っていないだけの可能性が多いのです。
しかし、1歳6か月ごろまでに歩くことも喋ることもできない子は何らかの心身機能の問題が潜んでいるかもしれませんので、精密検査を検討すべきかもしれません。もし心配な場合は、まず、かかりつけの小児科医に相談しましょう。
1歳なのに言葉の発達が遅い原因は?
1歳で喋らないことはあまり問題視するべきではないことが分かりました。
では、言葉の発達が遅い原因にはどのようなものがあるのでしょうか?
順番に見ていきましょう。
【早産・未熟児生まれた】
早産で生まれた子の場合は、修正月齢で判断しましょう。早産の場合は1歳でもまだ喋るのには早すぎる可能性があります。
未熟児で生まれた子は、発達や発育が目安とする発達や発育よりゆっくりしていることが多いのでまだ、心身の発達が追い付いていないだけの可能性があります。
【言葉のストックやコミュニケーションが足りない】
言葉に触れる機会が少ないと言葉のストックが足りず、本人に喋りたいという意欲があっても喋ることができません。
言葉は身近な大人たちとのコミュニケーションにより蓄えられていきます。
赤ちゃんにテレビや動画などを積極的に見せていても、言葉は積極的に蓄えらていきません。
親からの声掛けが赤ちゃんの反応につながり、言葉がストックされていきます。
【心身の発達が不十分または性格】
- 口の周りや声帯の筋肉が未発達
- 言葉への関心が薄い
- 何事にものんびりな性格
以上の理由が原因で喋りだすのが遅い子もいます。この場合は、様子見でいいでしょう。
【難聴】
耳が聞こえない。聞き取りずらいなどの耳の障害も喋れない原因です。
あなたが一生懸命赤ちゃんに語り掛けていても、反応が薄い場合は難聴である可能性を疑い、かかりつけの小児科医に相談することが必要でしょう。
【知的機能の障害】
喋らない原因に「記憶・言語・思考などの知的機能に障害がある」可能性もあります。
1歳6か月になっても喋らない以外に、こちらの言葉を理解していない、簡単なコミュニケーションが取れないなどの状態が続くようなら、かかりつけの小児科医に相談し、専門医にも相談することも検討したほうがいいかもしれません。
【自閉症の可能性】
自閉症の子も言葉の発達が遅くなる傾向があります。(自閉症は脳の機能障害でしつけや育て方で起こる物ではありません)
自閉症は知的機能に問題のないケースや日常生活が困難なケースなど程度は様々です。
心配な時は、まずはかかりつけの小児科医に相談してみましょう。
【言葉の発達の判断基準】
家族の呼びかけや環境で、喋れるようになるのか?
それとも精密検査や療育が必要なのか、その判断は何を基準にすればいいのでしょうか?
1歳6か月検診では言葉の発達に関する聞き取りテストなどがある場合もあります。(これより前の月齢では言葉の発達に問題があるかどうかの判断をするのは早急だからです)
もし、問題があるようでしたら指摘してもらえるでしょう。
1歳6か月ごろの言葉の発達に関するチェックリストを用意しました。一度チェックしてみてください。
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上記のチェックリストに複数当てはまるものがある場合は、心身機能に遅れや問題がある可能性がありますのでかかりつけの小児科医に相談してみましょう。
また、上記のチェックリストに当てはまるものがない、当てはまっても1つくらいだという場合は言葉のストックが少ない場合や、環境により喋らないだけかもしれません。
1歳でも喋らない子への教え方
特に障害や病気の可能性はないにもかかわらず、なかなか喋ってくれない子に私たちはどう係わっていってあげればいいのでしょう?
【口周りの筋肉を鍛える】
まず、言葉を発声するための体の準備が済んでいないと喋れるようにはなりません。
口、舌、声帯などの筋肉の発達をうながすために、笛やラッパなどで遊ばせてみましょう。
これらの筋肉の発達が不十分だと、笛やラッパがうまく吹けません。
【常に語り掛ける】
言葉が出てくる仕組みは、よくこのように例えられます。
「言葉をためるコップに、喋れないけど知っている言葉が満タンになりあふれ出たときに言葉としてあふれ出てくる」
言葉のストックは赤ちゃんがどれだけ、生の言葉に触れていたかで決まるのです。
ですので、赤ちゃんの目をみつめてゆったりと語り掛ける時間を作りましょう。
また、常に赤ちゃんに語り掛けるように意識しましょう。
「さあ、まんましましょうね。おいしそうだねぇ。熱いからふーふー。はい、あーん」
「積み木積み木。これは赤、こっちは青だよ」
「○○ちゃんあんよ上手上手!」
などです。
いわば独り言で、時々むなしくなりますがこの語り掛けで赤ちゃんの言葉のストックが増えていきます。
【絵本の読み聞かせ】
絵本の読み聞かせも言葉のストックを増やすのに非常に有効です。
読み聞かせはいつから始めても構いません。
色や形、動物、乗り物などを指差ししながら教えてあげましょう。
また赤ちゃんが興味を示し、指差ししたら答えてあげましょう。
こちらでは絵本の紹介もしていますので参考にどうぞ。
【赤ちゃんの話を聞いてあげる】
「あー」「うー」などのグーイングにも反応してあげましょう。
車などを指さしながら「あっあっ」「ぶー」など言っていたら「そうだね、ぶーぶーだね」とか「あ、車だね!」と答えてあげましょう。
あなたが赤ちゃんの言葉を聞いてくれる、反応してくれることが分かると赤ちゃんもお喋りが楽しくなってきますよ。
【同年代の赤ちゃんと触れ合う】
同年代の赤ちゃんとのふれあいはとても刺激になります。
言葉の発達がゆっくりだった我が家の次男も幼稚園に入園してから飛躍的に、言葉のレパートリーが増えました。
乳幼児期の子供同士の関わり合いは、大人が思っている以上に重要なようです。
まとめ
- 1歳ごろに言葉が出ていなくても心配するようなケースは少ない
- 喋らない歩かないが揃っていてもそれらに必要な心身の成長が伴っていない場合がある
- 喋らない原因は何か赤ちゃんをよく観察して見極めましょう
- 生の言葉に多く触れ合う機会を増やしてあげましょう
以上が、1歳なのに喋らないことに関する疑問や悩み、原因と対処法でした。
赤ちゃんがなかなか喋らない場合は不安ですが、慌てず落ち着いて赤ちゃんのようすを観察しましょう。
また、不安が大きい場合は、かかりつけの医者や保健センター・自治体の母子保健の方に相談しましょう。乳幼児健診の時に相談するのもいいですね。
そして何よりもあなたが、赤ちゃんとたくさん関わってあげることが大切です。
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