お正月に食べる料理と聞いて思い浮かぶのが、おせちと雑煮です。
しかしなぜ、正月はおせちと雑煮なのでしょう。
そういえば子供のころ、おせちや雑煮ではなく他のものが食べたくて仕方がありませんでした。
大人になった今も「まあ、正月はおせちと雑煮だよね」とあまり深く考えずに準備しています。
もし、わが子が自分と同じ疑問を持った時、ちゃんと答えられるのでしょうか?
あなたはどうですか?
そこで今回は「正月料理を食べる意味」と「おせち料理それぞれの意味」そして「おせちを重箱に入れる意味」を紹介したいと思います。
ぜひ参考にしてみてくださいね!
正月料理を食べる意味
おせちはもともと「御節」と書き、節句ごとに食べらる料理の事を指していました。
なかでも正月のおせちは「歳神様への供物」でもあったこと、節句の中でも正月が一番重要であったこともあり、やがて「おせち料理とは正月の料理をさす」ようになったのです。
また、正月などのハレの日は仕事をしてはいけないとされています。
水仕事はもちろんできませんし、かまどの神様にもお休みいただかなければならず、料理は最低限のことだけにとどめなければならないとされていました。
その最低限の料理が、雑煮を温めることでした。
雑煮はお餅を入れた汁物料理ですね。昔は大晦日に歳神様に供えた餅を元旦の朝に神棚から降ろして他の食材と一緒に煮込んでいたのです。
雑煮は酒宴の前に食べて胃を落ち着かせるという意味もありました。
ちなみに、長生きだった私のひいおばあちゃんは料理上手で風習などに詳しい方でしたが、そのひいおばあちゃんから聞いた正月に正月料理を食べる理由は「年末年始忙しい女性にもゆっくりしてもらうため」でした。
そのように明言している文献などはないようですが、実際にそういった心配りの意味も多分に含まれていたのだろうなと思うのです。
おせち料理それぞれの意味
おせちはお重の段ごとに詰める料理の種類が決まっています。
ここではおせち料理に込められたそれぞれの意味をお重の段ごとに紹介していきましょう。
【壱の重】
一番上のお重である壱の重ではハレの日にふさわしい「祝い肴」を詰めます。
特に「黒豆・数の子・田作り」は「三つ肴」と呼ばれ、お正月料理に欠かせないものとなっています。
関西方面では「黒豆」ではなく「ごぼうのたたき」を加えて「三つ肴」とする地域があります。私の住んでいる地域でもごぼうのたたきは外せないお正月料理のひとつです。
では順番に意味を紹介していきましょう。
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他にも「口取り肴(茶やお酒に添えて出す料理)」として縁起のいい伊達巻・栗きんとんなどの料理が詰められます。
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【弐の重】
弐の重には「焼き物」として、おめでたい海の幸を中心に詰めます
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【参の重】
参の重には家族の絆を結ぶとされる「煮しめ(煮もの)」です。山の幸を中心に詰めていきます。
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【与の重】
与の重には日持ちがする「酢の物」や、色鮮やかな「あえ物」などを中心に詰めていきます。
ちなみに「四」は「死」を連想するため忌み数字とされているため、代わりに「与」の字を当てます。
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他にも地域や家庭によってさまざまな料理を詰めていきます。
どの料理にも、健康長寿・子孫繁栄・豊作などの人々の願いが込められています。
おせちを重箱に入れる意味
では、おせちはなぜ重箱に詰めるのでしょうか?
これには主に以下の4つの理由があります。
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おせちの重詰めの基本は四段重ですが、地域によっては五段のお重に詰めることがあります。
これは五段目は歳神差から授かった福を詰めるためのお重だと考えられているからです。そのため五段目のお重は料理を入れず空にしておきます。(家族の好物や予備の料理を入れる方もいます)
上の章でも書きましたようにお重は各段ごとで詰めるおせち種類が決まっていますが、その料理の種類は奇数で詰めると縁起がいいとされています。
おせちなどの正月料理を食べるときに使う「祝箸」の先端が両方細いのにも意味があります。
これは「両口箸」とも呼ばれます。
おせちは本来神様への供物ですから、いただくときは神様と一緒に食べる「神人共食」の意味を持たせるために、この「両口箸」を使うのです。
まとめ
- ハレの日は最低限の料理しかしてはいけなかった
- 正月料理にはそれぞれ願いが込められている
- 福を重ねるためおせちをお重に入れた
以上が、正月料理に込められた意味でした。
これで子供に聞かれても大丈夫ですね!
現代のおせちは家族の好みの食べ物が中心ですが、縁起や願いが込められた料理の数々を改めて見つめなおしたいですね。
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